江戸写し絵社中 見参
江戸写し絵とは、
1769 年オランダから金属製のマジックランタンが輸入されました。 ランプの灯りでスライドを映す映写機のようなもので、「映像が映る= 手品」のような見世物でした。 1803 年江戸の職人が軽くて燃えにくい桐材で、同じものを作り(「風 呂」と呼びました)、小型化、軽量化に成功しました。それに、当時盛 んだった文楽・浮世絵・人形からくりの技術を加え、複数台を用いて 物語を演じるように工夫しました。江戸写し絵の誕生です。 絵が描かれたガラスをはめ込んだ種板(たねいた)にはスライド式や 糸を使った回転式のからくりが施され、重ね絵でダイナミックな動き を表現する事ができます。種板には絵師が色鮮やかに絵を描いたので、日本の光学映像は、カラーから始まりま した。風呂を多く使い、小さな景色をいくつも映し、モザイク画のように大画面を構成し、説経節・落語・和楽 器などとジョインして映像劇を演じました。映画誕生の 100 年前です。 絢爛たる色彩美に発展させた浮世絵を映像に、映像の人物所作は歌舞伎から学び、喜怒哀楽、哀切の物語を語る エンターテナーは義太夫節の影響を受け、光の仕掛けは絡繰り義衛門の作品に触発され、江戸の庶民の夢と江戸 の文化が融合し世界最初の映像文化を創りあげた江戸写し絵は、『江戸文化の華』と言えるでしょう。
江戸写し絵社中は、
娯楽性豊かな映像ショーであり、人気を集めた江戸写し絵も、映画にその地位を奪われ、関東大震災と戦災で多 くの資料が消失し、大衆芸能であったため記録も乏しく、急速に人々の記憶から失われていきました。1995 年映画 100 年を機に、世界各地で映像史が注目され、美しい画像と生き生きした動きと音が織りなす江 戸写し絵も、世界の映像史の中にページを与えられました。江戸写し絵に見られるアニメーション技術や工夫に は目を見張るものが多く、日本アニメ誕生の先駆けと言えます。 学術的評価はあるものの、国内の認知度は低く、より多くの人に日本の素晴ら しい文化を知って欲しいと活動を続けています。